空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカー

読了。

様子の変化に気づいたのか、杏子ちゃんが怪訝そうに尋ねてきた。
「ねえ、どうしてそんなに真剣なのよ?」
「賭けたんだ」
「なにを?」
「人生を」

最初に杏子ちゃんを乗せてから、ヒッチハイカーを何度も見かけるようになった。その度に色々な人を乗せながら、僕は走り続けた。
これは、僕の旅の物語だ。僕と杏子ちゃんと、そしてお兄ちゃんを巡る物語だ。




ふう、面白かった。楽しかった。
「流れ星が消えないうちに」 「ひかりをすくう」 とかは、暗い過去があって、日常を通していつの間にかそれが明るい方向へ向かっていく感じだったけど、今回は現在と未来に悩む主人公が答えを知るために旅に行く、というやや前向きな印象。
道中で様々なヒッチハイカー達を拾いつつ、杏子ちゃんとの関係をメインに進んでく。相変わらず全体的にまったりした雰囲気で、それに加えて、年上でどうにも逆らえないってのがデフォな杏子ちゃんと僕との関係にニヤニヤして楽しかった。
そして目的地へ着いた所で、やたらと熱い展開に。こんな下らない勝負に人生賭ける、その下らなさが大好き。愛すべき馬鹿たち。映画「ファンダンゴ」 の台詞を書き取って、兄が「○○」 と言えば弟が「××」 と映画の台詞にのっとって返すファンダンゴ遊びとか。こういうのの面白さって良く分かるなあ。


やっぱこの人はいいなあ。安定して面白い。というより、面白くないことはない。次も期待。