狼と香辛料4

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

読了。

「エルサさんは、お前に立派な商人になって欲しいそうだ」
「……っ!」
エヴァンは、憤怒の形相になりロレンスに飛び掛ろうとする。
だが、そこに冷静に言葉をつなぐ。
「商人に必要なのは冷静な損得勘定だ。お前にそれができるか?」

異教神の話を集める修道士の居場所を尋ねるため、二人は田舎村のテレオを目指す。しかしそこで待ち受けていたのは……香辛料4。


うん、面白い。期待通りの出来。
眠気をおしてまで読み進められるのは、行間や含みのある会話が良い具合に頭を使わせるからか。他の本は眠たいと思えば全然集中できなくなるからなあ。
完全に上下関係が決まってしまったようで、罠に嵌められることを覚悟*1させた上で、その覚悟を157頁「警戒してるのが丸わかりじゃ」 で攻めるのは、素直になるほどと思ってしまった。
そこから163頁「なら、わっちと遊んでくりゃれ?」 までの一連の流れは楽しすぎる。さすが賢狼。伊達に何百歳と生きてない。でも178頁「相当たわけておるぞ?」 なんて動揺したホロが可愛すぎると思ったりして(その後に息を呑むほど緊迫した会話にもなったりして)、なんかもうあらゆる面で油断が出来ない、と思った。
2,3巻と絶望の隙間を潜り抜けて、二人に確固とした絆が見えるようで微笑ましい。でも絶望感という落差がない分、「面白すぎるっ!」 と言えるような勢いじゃなくなったのは残念だったかな。まあ3連続で絶望的な事件になるのもあれだし、構成上仕方ないか、とも思うけど。


狼に熊に鳥に蛇……次は狐あたりが真っ向から仕掛けてくるとか? もちろんロレンスを。

*1:その代わりにエヴァンを手玉に取ったりするのが微笑ましい。