<骨牌使い>の鏡 3
- 作者: 五代ゆう,宮城
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 文庫
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
「彼は……なんと?」
「よき王たれ、と。――それから」
抑揚のない声でアトリは言った。
先をつづけようとしたが、喉がひきつって声を出すことができなかった。耐えきれず、口を押さえた手のうしろから、嗚咽まじりにようやく告げた。
「……―― 『すまない』、と――」
<異言>(バルバロイ) たちに連れ去られた <十三> アトリ。そして <骨牌> たちの相次ぐ離反……。突然の窮地にロナーは苦悩する。一方アトリは連れられた先で、祖なる <十三> 公女の悲劇を知ることになる。
なんという骨太ファンタジー。
面白かった。たまにはこういうのもいいもんですね。3巻ってぐらいが丁度良い感じです。
印象の強いシーンは、103頁「それは愛であり、謝罪であり、赦しでありまた哀しみであった」 とか、189頁「(なんて強いのだろう、ひとという生き物は)」 とか、引用文あたりのカラー口絵にあたる部分はもちろん、345頁「王が、民のあいだを歩かれる。冠をもたぬ王が」 とか……359頁「罪は、この背中には乗せられていなかったのだ」 とか。もう感動ですよ。公女の話の短い昔語りでも十分に泣けてきますけれど、この中でも後者2つが特に良いです。1巻はアトリ2巻はロナーと二人が苦悩してきた分の、その一番の盛り上がり所って感じですね。ただ、”モーウェンナ → 母さま” というあたりがよくわかりませんでしたが。どういう意味なんでしょう。