推定少女
- 作者: 桜庭一樹,高野音彦
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/09
- メディア: 文庫
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「いまこんなに苦しいこと、あとほんの何年かして大人になったら、忘れちゃうのかな? それで、いいわねぇあれぐらいの年の子、悩みなんてなくて、なんて平気で言えるようになっちゃうのかなぁ?」
ぼくは首をかしげた。そして、自分は絶対に忘れないと思った。それにあのおねえさんだってきっと、自分の部屋に、十五歳のとき苦しかったことの 証 となる品を大切に持っているんじゃないかなぁ。日記とか手紙とか、その子にしかわかんないなにかを……。
「あんまりがんばらずに、生きていきたいなぁ」 巣籠カナは、そんな言葉を呟いてしまう15歳の少女。ある夜、家族とのトラブルから家出し、町のダストシュートで、とんでもないものを発見する。――それは、銃を握ったまま眠る全裸の少女だった!
うん、面白い。
中学生の、あの頃のどうしようもない「ぐるぐる」 を描き取った作品。ただまあ、言ってしまえば「砂糖菓子〜」 と受け取る印象が同じかなあ*1。でも、そちらよりは面白かった気もする。なんというか、全体的に? 「砂糖菓子〜」 はラスト数ページのまとめが非常にスッキリしてて、そこが突出して面白かった覚えがある。
ところがこれが不思議なことに、付箋をつけた箇所を読み返してみると全然共感できない。61頁「毎日どこかで、ぼくたちは大人にころされてる」 とか、110頁「だけどそれから逸脱するのは、思ったより簡単なのだった」 とか、引用文あたりや、140頁「十五歳だったときの自分に、あやまって」 とかなんですが……何でしょう。読んでる時は、「今まさに15歳のただ中にいるような気分で、主人公たちに同調しながら読んでた」 ということなのかな?
結局、”最初のブラックアウトから宇宙人に化かされ続けてた” ってオチ? なのかな? わかりません。あと、あとがきの「きゅうきゅうきゅう!」 が小動物なイメージで妙に可愛いですよ?
*1:ただし、あっちは「暗黒青春ナントカ」 とか言われてたけど、その辺の「暗黒っぽさ」 を私は感じてなかったので、他の人は全然違う、と感じるかも。