インディゴの夜

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

読了。

私は慌てて右腕を上げると、どんどん小さくなる祐梨亜に向かい、同じポーズを返した。こましゃくれて憎たらしい、大嫌いな水平Vサインポーズ。それでも、これが二回り違いの "友達" に返せる精一杯のエールだった。
サンキュー、祐梨亜。必ずまた会おうね。それまで、自分の世界を生き抜いて。祐梨亜なら、きっとできるよ。

どんなに星の見えない闇夜でも、光を与えてくれる場所がある――女性ライター・高原晶が大手出版社の編集者・塩谷に漏らした何気ない一言から始まったホストクラブ 。晶が個性豊かなホストの面々と共に、にわか探偵団となって奔走する、スタイリッシュでウィットあふれる新世代探偵小説!


東京……恐ろしい街……っ!
というわけで、東京のホストクラブを舞台に、三十路の女性ライター兼ホストクラブオーナーが、殺人誘拐拉致監禁をホストの子たちと一緒に解決していく、というような話でした。4編からなる中編集で、なかなか面白かったです。
ホストの子たちは数が多すぎて、キャラというより”ホストクラブ” でひとかたまりのガジェットという感じですが……主人公の晶を筆頭に、同業者にして同じく のオーナーの塩谷、人脈から経歴から一切がミステリアスなマネージャの憂夜、いきつけの(オカマ) バーの筋骨隆々なぎさママと、個性溢れるキャラクタが勢ぞろいといった感じですね。特に憂夜となぎさママが良いキャラしてました。
しかしホストクラブというガジェットだからといって悪いわけではなく、というよりむしろ効果的なガジェットとして機能していると思います。ホストの子たちは基本的に良い人揃いで、むしろ町の青年団? ってぐらいにお人好し*1。そんな彼らを4編通して見てきて、最後に274頁「indigo まで行けば大丈夫。きっと店のみんなが助けてくれる。何とかしてくれるから」ってあたりは、おうおうジーンとくるやんけ、みたいな感じでなかなか良かったですよ。


さて、店頭で勢いで買ってしまった後に、図書館でこの本と続刊である「チョコレートビースト」 を見つけてしょんぼりしましたが、なかなか良かったですね。次も買ってきましょうか。

*1:いや町の青年団がお人好しかどうかは知りませんが、言葉のイメージとして。