E.a.G.

E.a.G. (電撃文庫)

E.a.G. (電撃文庫)

読了。

「お前、どうして死にたくなかったんだ?」
「……」
「望んで得たなら全うしろ」
「……」
「無駄にするな」

凄惨な吸血鬼事件に震撼する街の片隅で、可憐な少女の姿を借り、 それは突然現れた。「俺はDDF/AH-07JD。空電体を駆除するため言基体から派遣された進攻体だ」───その瞬間から、彼の運命は変わり始める。


なかなか良いですよ。
少なくとも2月新刊の同作者「ぜふぁがるど」 が買いたくなった*1くらいには。ただ、説明なしの固有名詞が何度も出てくるので、言葉からある程度「〜〜みたいな意味だろうな」 なんて推測してると「あ、あれ?」 という羽目に陥ります。例えば私は、「シーイェン」 という人名が(華僑のボスのチャイナな)*2娘とばかり考えてました。本当はボスの名前なんですけどね*3。他にも、読んでいて「そんな話だっけ?」 と首をかしげる場面が多かった。
だけど、終わってからもう一度パラパラッと読み返してみて、おぼろげながら輪郭が掴めると、なかなかに良作だったように思います。その分初読のときは雰囲気で読み流してるってことですけど。
特に、396頁「俺もちゃんとそう答えればよかった……」 あたり。最初は”ゴドーが <商人> と接触してたのか” とか思いましたが、そうじゃなくて、上の台詞はヒサカの問いに対する答えでした。それが分かると、397頁「またやせ我慢してる?」 がちょっと震えるほど良い台詞だったり……。


というかこれ、1冊だけだからと気軽に手に取ってみたはずなんですが、中身はどうも気軽に楽しむ部類じゃなかったです。手を出すなら、普通に「お稲荷様」 か「ぜふぁがるど」 のどっちかで良かったですね……。

*1:読んだのは一ヶ月前ですよ。二月は新刊が多すぎた……。

*2:()の中は文脈からわかることですが。

*3:だって物語冒頭から、シーイェンが行方不明とか言い出すもんですから。