オトナリサンライク

オトナリサンライク (ファミ通文庫)

オトナリサンライク (ファミ通文庫)

読了。復帰。

「なあ。そんな旦那みてえな立場の妖精が、万が一、万が一もし指輪や靴を作らなくなったとしたら……旦那はなんて言ってやる?」
旦那はふんと鼻を鳴らし、今度こそ可愛そうなものでも見るみてえに水平線へ目を細めた。
『黙って酒をおごって肩を抱くくらいじゃの』

「キーチ・シキシマ。あなたを三ヶ月の保護観察処分とします」 ……そんなことはどうでも良かったが、三ヶ月間のゴミ拾いが嫌で適当に選んだ「奉仕活動」 は、”善き隣人”グッド・ネイバーズ と呼ばれ、人間と共に生きる――妖精たちとのトラブル解決事務所、だった。


うわああん、面白い。
なんかスウィートスポットを的確に撞いてくるんですよおおお。これはもうどうしようもありません。――読み終わってから振り返ってみると、面白かった場面があまり思い出せなかったりするような、勢いのある展開ではないんですが、実際に読んでいる時は、なんかこう、じんわりと沁みてくるんですよね。噛みしめるタイプの面白さですよ。
73頁「あなたのカンは正しい。そして私のカンもきっと間違っていない」 プロローグ〜第1話は文章が固くて、というか読書のリズムがおかしくて*1、いまいち乗り切れなかったんですが……この間章あたりから面白くなってきました。190頁「………………ばかみたい」 そして第3話がすっごくいい。この顔! 顔!*2 242頁「そろそろ俺もさ、ちょっとは強かに生きてみよーかと思ったんだ」 これも良かった。なんか、返しの台詞としては勢いがないんですが、でもこの台詞自体がその意気込みの証明なんですよね。


やっぱこの人は作者買いリスト上位ですよ。SH@PPLEより人気出ないのは目に見えるようですが、応援してます。次も期待。

*1:一週間も読書をしてないと全然ダメになりますね。

*2:余談ですが159ページの挿絵(シンディ+レプラコーン) を見て想像した真相がドンピシャで吹きました。