魔女

魔女 (文春文庫)

魔女 (文春文庫)

読了。

「今日は疲れてる」
「女の部屋に泊まったものね」
「まさか」
「女の匂いがするわ」
「そんなもの、しない」
「ごまかしてもダメ。そういうこと、わたし、ちゃんと分かるんだから」

ある日、二年前に別れた元恋人の死を知る。彼女は生きたまま焼かれて死んだ。まるで中世の魔女狩りのように。事件の謎をさぐる内に、彼女の思いがけない素顔を知るようになり……。


いいですね。
元恋人の真実が切ない、青春ミステリでした。主人公はともかく、当初は自殺と見られていたので、やはり「自殺した知人を調べる男女ペアシリーズ」 でしょうか。第四弾。この四つの中で、このヒロインが一番可愛いと思いました。いや、やはり一番ツンツンしてるからでしょうか……。211頁「みかんが口をつぐんで、両手で頬を挟む。みかんがぼくに対して照れてみせたのは、知り合って以来、初めてだろう」 とか、照れ笑いを必死に我慢してる姿がたまりません……!
そういえば「風少女」 の感想でハードボイルド分が足りないとか言ってますが、柚木シリーズに慣れた後ではこちらのほうが新鮮でした。女性に対して悲観的にならずに済むからでしょうか、ずいぶん心が軽いです……。


次に「八月の舟」 で積んでた分は終了。さて同じ文春の「月への梯子」 を買うか、「ファミリーポートレート」 か「橋をめぐる」 か……。