八月の舟

八月の舟 (文春文庫)

八月の舟 (文春文庫)

読了。「みーまー」 続編に歓喜

「白雪姫だって糞はたれるし、屁もするんだ。それをやつは自分だけ、そういう下種なことには関係ねえって顔して、そのくせしっかり男をつくってやがる」
「本当の話か?」
「本当の話よ」
「白雪姫が屁をするなんて、信じられないな」

けだるくて退屈な夏休み、ぼくは不思議な魅力を持つ少女、晶子と出会う。晶子、親友の田中くん、そしてそれぞれの家庭や周囲の大人たちを傍観しながら、ぼくの夏が終わっていく……。


面白かったです。
主人公はいつもと同じで、斜に構えてて変人で口が上手いタイプ。そしていつものと違うのは、高校生という年頃らしい屈託を抱えてること。いつものタイプは基本的に、楽観的に構えてる印象を受けるのですが、今回は楽観的ではいられない*1というか、夏の暑さが主人公のやる気というやる気を奪ってしまっているような感じです。
以下コメント。45頁「ぼくらは岸の向こう側でキャンプをしてます」 よくもまあスラスラと出任せが出てきますね。147頁「かなりの絶望だったが」 (∩゚д゚)アーアーきこえなーい 164頁「生まれつき気の毒で、生きていても意味のない人間はさっさと死ぬべきだと」 ここでも十分、気分が落ち込んでくるんですが……179頁「ねえ、研一。そんな事はまったく馬鹿馬鹿しくなるくらい簡単に分かってしまう事なのです*2 で落ち込みすぎて逆に麻痺し、210頁「洗剤、買ってこなくちゃな……」 で決壊。うわーあーあーあー。


とりあえず次は「月への梯子」 で。しかしまた新刊が積みあがるので、後回しですけど。




余談。
いつもの青春ミステリのつもりで読んでたら、ミステリがなかった件について。事件は何も起こってなかったのに、頭のどこかで「このあと解決編をやるには残りページ少なくないか?」 とか感じてました。残りも何も!

*1:かといって悲観的でもないのですが。あえて言うなら消極的悲観。

*2:ここの母の台詞がいっとう好きです。