時載りリンネ! 5 明日のスケッチ

読了。

まるで自らの言葉によって力を得たように。リンネの紫の瞳はこの満天の星空の中、恒星のように瞬いた。
「私が守ってあげる」
リンネはもう一度元気よく言った。
「お父さんには誰だろうと、指一本触れさせやしないわっ」

晦日が過ぎ、お正月が来て、リンネの日常は変わらず楽しい毎日。そして、さらにリンネをわくわくさせる出来事が起こった! 絵描きで生計を立てる、時載りの“街の住人” に絵のモデルを依頼されたのだ。照れながらもモデルを引き受けるリンネだが……。


なんて面白いんでしょうか。
もうなんか開始2ページ目で笑ってしまいました。直前までゼロの使い魔を読んでいたので、そのあまりの落差に……*1。8頁「つまりこれは〜至極当を得ていたというわけだ」 噛む! 音読したら絶対噛む!
まあ50ページも読めばそんな文体にも慣れてくるのですが、しかしその密度の高い文章は飽きさせることはなく。序章+10章+終章で構成されていて、6章までは季節イベントやら何やらの日常話なんですが、これがまた楽しいんですよね。19頁「その瞳が一瞬、紫の光をたたえてわずかに揺れた」 とか、31頁「ちょっともじもじしていたが、やがてぴとっとくっついてきた」 とか……。もう! なんというか……もう! ニヤニヤとかそういうのではなく、くすぐられるような笑みが浮かんできます。
そして物語の核心に触れる部分では……321頁「いつまでも燦然と光輝く伝説となったのである」 から、328頁「だから、自分が疫病神みたいに言わないで」 が泣ける。リンネいい子すぎる。


次もすごく楽しみです。期待。

*1:一文の長さとか、漢字の量とか、その他もろもろ。