輪環の魔導師 6 賢人達の見る夢

輪環の魔導師〈6〉賢人達の見る夢 (電撃文庫)

輪環の魔導師〈6〉賢人達の見る夢 (電撃文庫)

読了。

「それはもちろん、敵に襲われた時の目眩ましだろう? 分身を精巧に作るのは大変だと思うけど、使い方によっては割と便利な品だ」
アルカインは事も無げに答えたが、ホークアイはいかにも皮肉な笑みを見せる。
「貴方にしては読みが甘い。ルナスティアは、大好きな貴方のぬいぐるみを作って、いつも抱いていたそうですね? となると、フィノは誰の"擬態" を作りたいんでしょうか?」
その指摘を受けて、アルカインは背筋が寒くなるのを覚えた。

魔族の手からエルフール王国を解放したセロ達。人々が復興に向け活気を取り戻す一方で、セロは“身に覚えのない悪夢” にうなされる日々が続いていた。そんな中、王都に滞在する一行のもとに、六賢人の一人、“楽人”シェリルからの手紙が届く。しかし、その内容は意外にも―― ! ?


いや、うん、面白いんですが……。
もうなんかフィノの印象が強烈すぎます。ちょっとスパイスが効きすぎじゃないでしょうか。ファンタジーとしてそれなりに面白いんですが、フィノのアレがアレすぎて、ファンタジーのほうを薄味に感じてしまいます。
以下コメント。91頁「一国の姫君を内心で"この女" 呼ばわり」 〜92頁「油断はできない」 きついきつい! カラー口絵のフィノの目も完全に据わってるよ! ……でもこれ、この巻からだと思いますが、やけにフィノの一人称描写が多くなりましたね*1。冒頭の85頁「えぇ、セロのほうも。大人しそうな顔をしているけれどからして、どうも”フィノの死亡フラグ” の予感が……。156頁「(なるほど、ここで死なせるには惜しいか――)」 この北天将側の話といい、賢人側の話といい、善悪が入り乱れる感じになりそうですね。


アルカインは今回もいいですね。紅茶片手に二足歩行の猫だなんて! 例の三本指がないのは残念ですが、まあ余裕のない巻でしたしね。次も期待です。

*1:明らかにやりすぎの巻末付録とか……。