晴れた空にくじら 3 浮鯨のいる空で

読了。

「そんなことはあっ」
と言って槍次は立ち上がると、雪平を見下ろして、
「ないんだ、あははは」
と、殴るのかと思ったら、こう言った。笑っているわけではない。これは口で、言葉として「あ・は・は・は」 と発音しているのである。つまり、口で笑い声を作って、心で泣いているのだと思われる。

ロシアの要衝、旅順を攻略するべく、雪平たちの乗る“峰越” もまた、連合鯨軍とともに一大決戦に臨もうとしていた。奉天での出会いから、少しずつ近づいてきた雪平とクニ。だが、巻き起こった戦塵はそんな二人の距離さえも再び曖昧にしていく。そんな彼らの前に、赤い印をつけた襲撃鯱、クニが奉天から追い求めてきた仇敵が再び姿を現し――。


うんまあ、いつも通りかな。
最終巻ですが! クニかわいいよクニとか、まあ今更の話ですし、空戦描写も、うん、やっぱり今まで通りではないでしょうか。緊張感のあるような無いような、なんというか、いい具合に肩の力を抜いているのが良いですよね。220頁「クニに見とれてるから、そんなことになる。なるんだが……」 のところとか、正にそんな感じだと思うんですよ。本来ならここの挿絵ももうちょっとかっこいい感じになるかと思うんですが、しかし実際は……うむうむ。邪悪な願いってのはここの事だと思うんですが。まあ89ページのほうも捨てがた……いやいや。


ところであとがきの文章が作者のHPの雑文まんまの雰囲気で、少しにやり。さて次はどうなるんでしょうか……。