もちろんでございます、お嬢様 1

もちろんでございます、お嬢様1 (ファミ通文庫)

もちろんでございます、お嬢様1 (ファミ通文庫)

読了。

そこまで聞いた九郎は、率直に言ってその場にしゃがみこみたくなった。
ばれている。はじめから全部ばれている。あんまりだ。その衝撃に加えて、心配されてしまっているという事実がもう。
バスタブのアンジェリカを見る。リチャードを見る。


――ありえないってこのホテル。


うーん、やっぱりこの作者は好きだなあ。
一見するとまーた執事モノか、的なイメージのタイトルですが、実際は「もし異能付きの軍国少年戦勝国のホテルでコンシェルジュになったら」(後書きより)。敗戦からしばらく経って食い扶持に困った主人公、というところから始まります。
何が好きかって、雰囲気、世界観……色々ありますけど、どうにか言葉にまとめ直そうと思ったら、なかなか難しいですね。ひとつ思いついたのは……大人の存在でしょうか。悪役とか、倒すべき敵とか、性格破綻者な奴とか、そういうのではなく、離れた位置から優しく見守っていて、子供に誠実であろうとしている大人。子供が正しいと思ってることを、間違ってないよと後押ししてくれる大人――。ライトノベルではなかなか貴重な存在ではないでしょうか。


てきとー言ってますけど、まあとにかく、このシリーズこそしっかり続いて欲しいなってことだけ最後に添えておきます。過不足なくって、難しいですけどね。