ルナティック・ムーン〈5〉

読了。

掴もうと手を伸ばしたのに、強すぎた力のせいで壊れてしまったものたち。
後悔はない。怨嗟でもない。それはただ、懐かしさを以て。
背を向けて遠くへ歩いていく、その内の誰かひとりが振り向いた、そんな気がした。
顔を見せてくれたその人に応えようとして、ロイドは笑う。
――誰だろう。

最近本を読むと疲れるようになりまして、本書の読みにくさもあいまって、一気にというわけにはいかずちょくちょく栞を挟んだりしましたが、その分密度は高かったと思います。
最終巻は次々と主要人物が死んでいくハードな展開という各方面の話に違わず、本当にその通りではあるのですが、2chの藤原スレで「レジンキャストよりルナムンの方が鬱」 という意見を多く目にして鬱耐性が出来ていたせいか、それほどでは……と思ってしまいました。たしかに主要人物は死んでいますが、主人公2人はむしろ幸せになっているわけで、うん、これならレジンキャストの遊園地短編と2巻の合わせ技の方が極上のひどい鬱を醸してたと思うわけですよ。


まあ鬱かそうでないかはおいとくとして。


物語としては、飛びきり良いというわけではないけど、悪くもなかったです。カロマインとロイドも適度に満足できましたし、レインが降りていった後のシーンやイユとリカのシーンなんかは微かに込み上げるものもありました。うん、まあ、名作ではないけれど良作ではあります。エンダ風に言うなら閾値以下。……うん、意外とこの表現がぴったりですね。読んだ人にしか分からない基準ですが。


あと、これは1巻が最も顕著で5巻には殆ど見られず、やっぱそっちの方がいいよな、と思ったことですが、類義語を並べ立てた表現がかなり鼻についたのは言っておきたいと思います。