花守

花守 (GA文庫)

花守 (GA文庫)

読了。

「だけど……やっぱり」
おまえが。
クラッチ、春嶽君はさ……」
おまえが。
「ひょっとしたら、子規が」
おまえが。
「おまえが、悪いんだっ」
「ひゃっ!」
「おまえが、いるからっ! 僕も、子規も、こんな辛い目に遭うんだ!」

最近、引用箇所を調整して別の意味を含ませる*1 のが楽しくなってきた気がします。


それはともかくなかなかの良作。
二日酔いの頭痛を響かせつつ無理に読んだせいで、続きを読むのを丸一日空けてしまってなければもっと感動出来たかもしれません。しかも頭痛のせいで前半は適当に読んでいたので、体調万全でしっかり読めば名作だったかも。本当に惜しい。一期一会です。

死んだ人が死んだ、という事実は受け止められる。でも、今生きている人が死ぬ、という事実はそう簡単に受け止められるものじゃあないだろう。

という台詞にもある通り、崩壊が定められている物語です。読んでて辛くなるのでこの手の話は苦手なんですが、同時にクリティカルヒットでもあるので読まずにはいられません。
それはさておき。本編はシリアスに進みますが、所々挟まってくるギャグ部分が楽しくて仕方ありません。特にデューク東郷を敬愛する主人公。小説のキャラに同志よ! と言いたくなったのは初めてだw そうなんだよなーわかってくれないんだよなー。
それはさておき。後半になるにつれシリアス度は増していくので、スムーズに感情移入できたのは良かったんですが、目に余るのが感情の変化が速い場面があること。本当にカラッと変わる。もっとこう、段々と、順を追って描写してほしかった。冷静な台詞喋ってたのに次でいきなり泣いてたりとか。行間を読むも何も、そもそも行間ありません。こいつのせいで感情の高ぶりにストップがかかったのも幾つかあったのが残念。いまいちノりきれないというか、ノってはいるんだけど、スピードが思うように出ない感じですかね。


んー、なんかもう面倒なのでまとめると、粗があるけど面白い本、ということで。粗ばかり言って面白い部分を全然伝えてない気がしますが。


余談。
絵が狼と香辛料と同じ人ですが、この人最近出てきたくせに狼含めればもう3つの作品を担当してますね。絵だけでも尻馬に乗っとこうという魂胆なのかGAとスニーカー。いや、この人の絵は好きなのでいいんですが。

*1:話の前後見てればその意味ではあり得ない。