陰日向に咲く

陰日向に咲く

陰日向に咲く

読了。

そんで地獄に落とされて閻魔様が説教でもしようもんなら蹴飛ばしてやるよ。「テメーに450万が作れんのか馬鹿野郎、年利29%だぞ、利息だけで月々10万以上だぞ」 って。生意気だ、とかいって喋れないように舌を引っこ抜かれても「ぱぱやどーぱぱやどー」 って叫びながらクソして投げつけてやる。

なんて予想外に行くんだろう。


表紙が著者本人なもんだから、てっきり自伝的な、脚色加えた過去話かと思いきや、中身はまっとうな小説してました。
まず、著者の名前を見て「どうせ」 で始まる感想を抱いた人。間違いではありません。それも含めて、狙っていたような気がします。まず目線を下げること。ハードルを下げて、「どうせ」 なんていう風に”相手にナメてかからせる”こと。それこそ思う壺。敵の仕掛けた罠。読んでいて『認めたくない、認めたくないけど……!』 と「どうせ」 が覆る瞬間は、そう先ではないと思います。

ビギナーズ・ラックにしては上手すぎる 。 あと二冊は書いてもらわなきゃ―――恩田陸

というような人*1が言ってるとおり(かどうか知りませんが)、あと2冊ですね。あと2冊は読んでみたい。


で、感想というか所感というか、これは言いたい、ってこと。
窮地を脱するためにアホな解決策を思いつく段とかは町田康を思い出しました。それとラスト数ページで行が飛んでるので、そこから先はあとがきかなと思ってぺらっとめくったら全然関係ない話っぽかった*2 から、読み返して頭の中で整理して、結局この人があの人で……、と推論付けてからあとがきに進んだらさっきの続きじゃん! みたいなオチだったり。で、その推論は的外れだった訳ですが、私的にはそっちの自分で考えた結末(健一のお母さん=鳴砂の少女で、既に探し当てた後だった。)の方が好きかなあ。実際のラストは、あけすけというか、そんな分かりやすく書かなくても、と思います。

*1:恩田陸は「七つの黒い夢」 のあまり印象に残ってない話しか読んでませんが、「エンドゲーム」「夜のピクニック」 とか、タイトルからして面白そうと感じる人。買ってないけど。

*2:よく見たら陰日向に咲くってサブタイトルだったねえ。