リレキショ

リレキショ (河出文庫)

リレキショ (河出文庫)

読了。『始まりの三部作』 の1st、というのは読み終わってから知りました。

僕は顔を伏せ、その男とホッシーとの間に横たわる、もやもやとした空気の層のようなものに思いを馳せた。恐らくその男のマシンガントークは、その層で乱反射して、ホッシーには届いてないのではないかと思われた。
柔らかでうっすらとした空気の層。けれども絶望的な断絶。
――親密じゃないんだ。
僕にはホッシーの声が聞こえるような気がした。

”半沢良”には人生がなかった。履歴書を前にして筆が止まったとき、”姉さん”はこう言った。「大切なのは意志と勇気。それだけでね、大抵のことは上手くいくのよ」 ――積み上がっていく人生を見る物語。


……なんてことを思ったのは読了後に解説を読んでからで、そうかそんな捉え方が出来るのか、と思ったくらい、全く何も考えずに雰囲気だけを読んでました。”半沢良”を半沢良という一人のキャラクタとして読んでて。
普通の物語なら、キャラの性格や性質といったものは枠が固定されていて、その中に設定を付加させていくことで読者の中に人物が構築されていくわけですが、”半沢良”にはその枠自体がないんですね。第三者というか、ゼロベクトルというか。うーん、うまいこと言えないなあ。
青春ファンタジー、とあるがファンタジーというか、不思議、といったレベルかな。青春は青春だけど。