あしたびよりⅡ真鍮の四肢

あしたびよりII真鍮の四肢

あしたびよりII真鍮の四肢

読了。この人は作者買い決定。

「――何の話?」
「うん、隠されてて、よく分からない――」
神速で振り向いたイルクは、底冷えするような表情で二人を見つめているルシアをその目に刻みつけた。
ルシアが開けた客室のドアが、ルシアによって閉じられる。
イルクが縮み上がる程度の音を発しただけで、幸い、ドアは壊れなかった。

続編にして後日談にして完結編(あとがき談)。完結編とは……割とショック。


うん、これは良作。引用文みたいな遠回しな文章が読書速度を阻害するけど、心理描写がそれを補って余りあるほど良かった。ルシアの葛藤ももちろんだけど、172頁の「×××××が羨ましい云々」 は鳥肌が立つほどだった。そうか、そんな思いも有り得るか――とため息をついた。これはくる。何も考えずに読んでると不意打ちくらう。
ただ、その辺りも含めた伏線っぽい文章*1 は丸ごと放置かー。うーん。正直もったいない。せめてあと2巻分くらいは読みたかった。まあ「あしたびより」 ってタイトルは1巻だけで完結してるし、潔いと言えば潔いけど。

*1:これで終わりだし伏線として書いたわけじゃないんだろうけど、後でこの葛藤が解消されるだろうなとは思わせる文章だった。