となり町戦争

となり町戦争

となり町戦争

読了。

「これが、戦争なんだね」
僕は香西さんを抱いたまま波打ち際に横たわり、そうつぶやいた。仰ぎ見た空には月が光っていた。冷徹に、慈悲なき姿で。
「これが戦争なんです……」

となり町との境を通りながらも、銃声も爆撃の音も何も聞こえず、全く変化の無い毎日に「戦争はまだ始まってないんじゃないか」 と考えていた所へ、役所から戦争参加への封書が届いて……。


うーん、エロス。いやそんなことじゃなくて……何というかまあ、起こっているのか起こっていないのか曖昧な戦争が自分の住む町で起こる。テレビの中で起こるようなことと同じことが現実に身近で起こったとき、しかもそれは影も形も見せず、ただ『戦死者という数字』 が増えていくだけだったとき――何が見えるのか。何が戦争なのか。そんな話。
まあ正直、よく分からなかった。上っ面なら何となく捉えた気もするけど、うーん、何だろう。「深く考えさせられる」 とかいう本って深く考えても仕方ないから考えないことにしてるからなあ*1。「そんな思考停止してるようじゃ駄目だ!」 とか言われてもアレだし。
エンターテインメント面を見ればそれなりに面白かったことはそうなんだけど。最後まで感情が噴出することなく*2、感情を超越した態度でいたりしたことが不満だったかな。その辺に戦争というテーマが関係してくるのかもしれないけど。ああ、エンターテインな小説に慣れきってしまったか。

*1:そんな余裕はないとか、直面した時に考えればいいとか、そんな感じで。

*2:表出はしていたと解釈できないこともないけど。