はじまりの骨の物語

読了。古本。私の読んだ中で一番古いライトノベルかも。

もしもスヴェンが彼女の顔を見ることが出来たら、きっとしりごみしたことだろう。ゲルダの顔は、仮面のように動かなかった。
だが、無表情というわけではない。人間とはべつのやり方で、彼女は微笑んでいた。おそろしく美しく、残忍で、無関心な、それは微笑だった――
――まるで、神々のような。

魔術師アルムリックはゲルダにとって、育ての親であり、友人であり、恋人でもあった。しかし<冬>の大軍に立ち向かう人間たちの中で、アルムリックはゲルダを捨て――愛憎のファンタジー


ううむ、面白かった。なるほど正にファンタジー。色々と出てくるけど、ふーんそんなもんかで済ませられる設定なので、特に苦もなく読み進められた。近著のフォーチュンテラーが読みにくかったのは、設定を理解する必要があった*1 からなのかも。
なんというか、今まで読んでたライトノベルと毛色が違う感じ。古いって意味でもそうだけど、もっと何か――深い。深度が違う。それは物語の現実性とかそんなのではなくて、もっとこう……何だろう。本を読んでいると、感じた印象から「この本はここ、その本はあそこ」 と分類分けをしていくんだけど、この本は全く別の引き出しに入れる必要があるというか。
端的に言うと「新食感!」 かな。


あと、あとがきにて作者が女性ということが判明、しかもデビュー作ということで若気の至り的な文章だったから、ある意味で面白かった。編集部の解説も時代を感じさせる気がしたよ。

*1:かどうかは知らないが、少なくとも私はそう感じた。