電波的な彼女

電波的な彼女 (スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 (スーパーダッシュ文庫)

読了。

こういうふうに、たまに、不意打ちのように優しい母に腹が立つ。それを期待している自分にも腹が立つ。内心、嬉しいと感じている自分にも腹が立つ。母の作った料理が大好きな自分にも腹が立つ。
折り合いのつかない感情が山盛り。親子ってのは面倒くさい。
美夜はまだ納得してない様子だったが、ジュウは気にせず弁当を食べ始めた。
カボチャの煮付けがやたら美味い。

「わたしは、ジュウ様の下僕です」――そう言って現れた彼女は、前世で自分と主従関係にあったという。どれだけ振り払っても付き従おうとする彼女。いつしか彼女が傍にいることが当然となっていったが……。


という、ある種のラブコメ的な話だと思っていた。なにせ冒頭に出てくるキャラが、主人公にちょっかいを出すクラスメイトの女の子に、不真面目さに事あるごとに突っかかってくるメガネ委員長に、”電波的”な彼女。しかし途中から段々と雲行きが怪しく……。
あー。ここで初めて裏表紙のあらすじ紹介を読んだ。「――人間の歪みが起こす、驚愕のサスペンス!」 そうだったのか。


まあまあ、それなりに面白かったかな。母ちゃん最強伝説なあたりとか。千尋の谷を登ってきた子虎を「世の中そんなに甘くないよ」 って再び突き落とすような、それでいてちょこちょこ谷の上に様子を見に来るような。