“文学少女”と繋がれた愚者

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

読了。

「迎えに来ちゃった。一緒に学校へ行きましょう」
それは、高校生になって、文芸部に無理矢理入部させられたばかりの頃、部活をサボって帰ろうとするぼくを、毎日教室まで迎えに来たときの遠子先輩と、同じ顔だった。
明るく晴れやかな、優しい顔。


――部活の時間よ、心葉くん。

本を食べて内容を味わう”文学少女”は、図書室で借りた本をおいしそうに眺め読んでいたとき、ページの1つが切り抜かれていることに気付いた。一番の名場面を! 許せない! と憤り犯人を捕まえようとするが……という話。


強烈……っ! まさかここまで”来る”とは……。正直甘く見てた。ここが盛り上がり所かと思えば、更にその向こうにより高い山が聳えていたりして、最後まで気を抜かせない内容だった。
やはり1巻2巻共々内容を忘れてしまっていて、軽い気持ちで読み進めていってたら92頁で暗転させられた。そういやそんな設定だったっけ……。もうそこからは物語に暗雲が立ちこめて、苦痛や苦悩がピリピリと伝わってきて、否応なしに話にのめり込まされていった。
そして劇が終わり、物語もいい感じに終わって……いくと思いきや、波乱の予感。「まさか……まさか……っ!?」 という感じで、本編の終わりにしてテンション最高潮に。最後まで読んで、また最初からいつもの太字の部分読み返した。
いやあ、楽しかった。3巻にして抜群の嵌まり具合だった。


シリーズとしてはここで中間地点らしく、次の巻からはがらりと物語の雰囲気が変わっていきそう。楽しみに待っておこう。