四畳半神話大系

四畳半神話大系

四畳半神話大系

読了。

大学三回生の春までの二年間を思い返してみて、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。
異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとく外し、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。

映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」 という奇想天外なビラ、ソフトボールサークル「ほんわか」、そして秘密機関<福猫飯店>……。ぴかぴかの1回生だった私には、幻の至宝と言われる「薔薇色のキャンパスライフ」 への入り口が、今ここに開かれているものに思われた。半ば朦朧とした足取りで、私はサークル勧誘の渦の中へと入っていき……な話。


ふう、面白かった。
前作「太陽の塔」 と同じく、やはり妄想逞しい京大生(明示はされてないけど) が京都の街を右往左往する話であって、それ以上でも以下でもないけれど、やはりその無意味さというか行き所のないエネルギーのはけ方というか、とにかくその辺りが見てて面白い。
あくまで傍観者もしくは野次馬の気分でもって読み進めるのが大半であって、私もその中に入るのだけれど、いつかこんな風になってしまうのかいやそんなことは有り得ないだがしかし、と考えると少しホラーな気分になったりもする。


濃い部分が多かったけど、特に印象に残ってるのは、カステラがコロッセオになったのが意外すぎて笑えた。あとジョニーとの会話。後者は笑ってしまえば負けのような気がしないでもない。