悪魔のミカタ⑧ It/ドッグデイズの過ごし方

再読。帯で当時の新刊を眺めるのが意外と楽しみ。

「それが――それらがぼくの夢だ。そして、ぼくはそのどれをも取捨選択するつもりはない。なぜならすべてを実現するし、それができると信じているからだ。そうとも、ぼくはハッピーエンドを信じているし、幸せになるのをためらわない。
未来は常に、希望にあふれているべきなのだ!」
未来を――可能性を信じないで、いったい何を信じればいい――?

たまたま部長に会ったコウは、成り行きでそのまま車に乗せられた。しかしそれは長い長い”ドッグデイズ”の始まりだった――It 編の前半にしてドッグデイズ前編。


いやすごい。色々と楽しかった。やっぱドッグデイズは好きだなあ。
まずカーチェイスが単純にアクションとして楽しめる。不調が祟って、笑うしかないというコウの気分がよく分かったりして、非常にのめり込めた1冊だった。そしてとにもかくにも、5巻/グレイテストオリオンでその片鱗を見せた部長の真髄があらわになる巻でもある。

たぶん誰もが覚えているであろう、65頁「諸君、地球は僕を中心に回っている」 の大演説が正にそれ。「ようこそ新入生諸君。1+1がときには2にはならない世界へ」 とか、その構成の上手さにさえ感動した*1。そして上の引用文の辺りもその一つ。196頁、穴へ落ちつつ「愛してる」 は、一見すると諦めた末の言葉に見えるけど、読み返してみればむしろ逆、まさに部長の信念を表した一言ってことが分かる。


私的メモ。
ザ・ワン編に出てくる三輪方遼子が5巻に一瞬だけ登場してたように、美樹も1巻でミステリーサークルの女部長として回想に登場してたりする。

*1:何が真理か/どれを真理とするのかを説いた上でそう繋げてくるか……っ!! という具合に。もしその場にいたら絶対みークル入ってた。