悪魔のミカタ⑫ It/ストラグル

再々読。hp短編をどうするかが悩む所。

まだ幼い低学年たちの列を順々に見つめ、その後ろ、もう子供でいられなくなった高学年たちの顔を見、息を吐き、はっきりと言う。
「勘違いはしないでほしい。
ぼくらの家族は、もう、いない」
なんて残酷なせりふだろう、と、思う。

夜の公園で出会った六人は、希望を胸に、戦うために、それぞれの場所へと戻った――ザ・ワン編中編


まあまあ。
何がどうって、大体覚えてると楽しくない巻だった。ただ、あとがきでも言ってるように、吸血鬼対人間という戦いにして人間が勢力を取り戻していく様子になっている。ただそれだけ。前巻のインパクトが強いせいか、例えるなら映画が始まって1時間のような、中だるみ感が拭えない。繋ぎの部分というか。
私的に気に入ったシーンは、上の引用文あたりや、45頁の海藤さん「――なぜ犠牲になる人がいる?」 、101頁の元『レッド』 の少女「リーダー、泣いてた」 、243頁の昇「……ぼくは、あきらめることにする」 かな。特に最後の、サキと昇との間の諦念の雰囲気が良かった。決別の瞬間、みたいな。


私的メモ。
・海藤さんにつく「相棒」(4巻で占い師やってた女の人かな?) がいることをすっかり忘れてた。第三勢力? 43頁「雨が降るのは確かだ」 辺り、ドッグデイズの対アトリでいきなり占いをする海藤さんと合わせて、そういう未来を当てる知恵の実を持っているのかも?
・あとがきによると、ランドールが「夢破れた未来のコウ」 という可能性であり、昇が「叫び続けて助けを得られた過去のコウ」 という可能性、って説明にはなるほど納得。