多重心世界シンフォニックハーツ 上.独声者の少年

読了。2巻が出るみたいだしPart2。

「どうしてカノンから逃げるんですか、モルトさん!」
起き上がったソロは、怒りというより嘆き、非難する。
「僕を殴ったのは、本当は自分に腹が立ったからなんでしょう? 僕がカノンを守りきれなかったのが自分のミスのように感じられたんでしょう? そんなに心配なら、カノンから目を逸らさなくたっていいじゃないですか!」

多声者――人格を複数持つことが当然の世界で、人格の数だけ個人の可能性/有用性が増加することから、4,5つの人格を持つ「4つ星、5つ星」 の上流階級、「2つ星、3つ星」 の下流階級と分かれ、お互いに羨望と軽蔑の眼差しを向け合っていた。
そんな中で、1人格しか持たない奇病「独声者」 とされる主人公・ソロは、多声者の世界で自分の生きる意味が判らずにいて……。




面白い……! 序盤の説明でもう設定勝ちの気配。
要は5つ星なら5つの才能・5つの知識・5つの技術を持っているわけで、その優位性は2つ星と比べると計り知れない――ということ。それによる貧富の差やら弾圧やら、という世界観。
ただ、各人格にそれぞれの名前があって、更に地名やら都市名やらが大量に出てくるので、後者は完全にシャットアウト。人格が混乱しないようにするだけで精一杯。
加えて、人格が多いせいで各キャラクタの魅力が不十分。まぁ独声者の主人公や幼馴染(?) には共感しやすくて、271頁「私、気づいたの」 辺りは良い感じに感情移入できたけど。それでも”広場でお互いがお互いを見つけて走り寄る光景*1 は完全にフラグ成立で、胸中に予防線を張っちゃったのが残念。


そろそろかなー? とか思ったけど下巻はまだ売ってなかった。

*1:脳内設定:スローモーション