ムシウタ 07.夢遊ぶ魔王

ムシウタ 07 夢遊ぶ魔王 (角川スニーカー文庫)

ムシウタ 07 夢遊ぶ魔王 (角川スニーカー文庫)

読了。

憎き"大喰い" を前にしてるというのに、何もできない。
「"かっこう" は――」
悔しさに目が眩んだ。頭に血が登りすぎて、立ちくらみがする。
「こんな思いを……ずっと、してきたっていうのか……?」

”虫憑きの消える街” に派遣された有夏月は、常にビデオカメラを構える少女・愛恋によって、強引に報道部に入部させられる。街の怪現象を調べる二人は、その内に”魔王” と呼ばれる存在に近付いていき……。



面白い。徐々に盛り上がっていく。
「かなり感動!」 とかじゃなく、「少し震えるくらいの感動」 がちょこちょこと、間断なく来る感じ。後半のむしばねの少女の電話辺りからかな。そして桜の木の下の幻影のシーンを経て、引用文辺りで最高潮。"かっこう" と同じラインに立つ有夏月が良い感じ。
踏み台にされた感のある愛恋だけど、彼女は彼女で素晴らしい。”虫憑きと一般人は変わらない” と結論を出した上で”自身が虫憑きになるのを厭わない” だなんて! なんて綺麗な決断。ジョジョ第五部的な雰囲気がするよ。



どうでもいいけど117頁「どうして君が、欠落者になってるんだ……」 に一瞬「ミステリ風味!?」 とか思った。部屋に仕掛けられた罠とか、扉を開けたすぐそこに死体(じゃないけど) とか。