バスジャック
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (155件) を見る
「ねえ、おじいちゃん。おじいちゃんはおばあちゃんにとっても優しいけど、おばあちゃんに優しくしてあげるのも、独りよがりじゃ駄目だと思う」
お爺さんは、無言のままに俯いていた。
「おばあちゃんの手は冷たいけど、これが今のおばあちゃんの手なんだよ。ちゃんと握ってあげなきゃだめだよ」
表題作「バスジャック」 他、4ページの短編から70ページの短編まで、日常を揺るがす驚きと感動の全7編。
「二階扉をつけてください」……いきなりこんな話か! ちょっと、この他の短編もこんな話なのか……と構えてしまう程の衝撃だった。初っ端からびっくりさせてくれる。
「しあわせな光」……4ページ。でも軽く暖かい気分になれる。
「二人の記憶」……”映画館での彼女の言動は、彼と同じように、彼を試すためのでっち上げ” とか思ってしまうのは、やっぱり二階扉のせいだと思いたい。
「バスジャック」……表題作。「今、バスジャックがブームだ」 から始まる奇想天外な話。割と普通。
「雨降る夜に」……一番印象薄い。うーん?
「動物園」……一日こもって文庫本読む"だけ"*1で仕事だなんて! 閉塞感が実によく理解できるなぁ。あと社長と主人公の話が読みたい。
「送りの夏」……引用文の所で泣いた。これは切なすぎる。
共通して不思議な設定が多く、長くても70ページで気軽に読める。個人的には「となり町戦争」 よりはこっちの方が好き。順位をつけると、「送りの夏」 > 「動物園」 > 「二階扉」 > 「しあわせな光」 > ……かな。
特集ページの人気投票ではバスジャックが1位のようで、うーん……? と首をひねるばかり。
*1:食事排泄その他は不可