銃とチョコレート
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/31
- メディア: 単行本
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「男はきそいあう生きものなんですよメリーさん。しずかにここにいてください。しんぱいしなくてもだいじょうぶ。あなたのために、生きてかならず……。」
「しんぱいしてませんし、かえってこなくていいです。」
「あ、そうですか……。」
富豪の家から財宝が盗まれる事件が多発。現場に残されていた【GODIVA】 のカードは、怪盗の名前として世間に定着していた。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。
楽しかった。正に「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」 本。
けっこう厚いけど、ひらがなの多用やページ単位の文字数の少なさで、気軽に読める一冊。名探偵と行動を共にする子どもたちの冒険小説。
でも、そのアドベンチャーな部分は確かに子ども向けだと思うけど、中盤のアレはトラウマものじゃないか? って程の怖さだった。手の平返す人間って真剣に怖い。ひらがなの具合から小学校低学年〜中学年が対象かなって思ってたけど、中学生くらいじゃないとキツいような……? 話は違うけど、いきなり回転式拳銃と自動拳銃の説明始めたりとかもそう思った。
甘いだけじゃなくて、苦いこともある、まさにチョコレートのような登場人物たち。特にロイズはいい感じに人間臭くて気持ち悪かった。ドゥバイヨルは最初から最後まで恐怖と威圧感を前面に押し出していて*1怖かった。ライトノベルにはない、なかなか希少な体験だった。
余談。
感想を見て回ると、名前が全員チョコレートの名前と同じだったらしい。そういえば、微かに主人公リンツだけは知ってるような……。ハチクロで巧と匠をチョコボールとリンツの比較で例示してたはず。変な記憶だ。
*1:もちろん後ろの方にあるのも何となく察したり。