GOSICKsⅢ ―ゴシックエス・秋の花の思い出―

読了。

ヴィクトリカは不機嫌そうに背を向けた。金色の髪をざわざわとうごめかせて、ちいさな声で文句を言った。
「気軽につつくな」
「ん? あぁ、ごめんよ。つい、ぷくぷくしてたもんだから」
「!」

<ベルゼブブの頭蓋>から学園に帰り、訪れた秋の日々。ヴィクトリカは熱を出し、久城は、彼女を退屈させないよう、謎を携えて花壇の迷路を進む。


もう、この、ほわほわした雰囲気だけで幸せ。
一応は花に関する本を久城が読んで、ヴィクトリカがそこに潜む謎を解くという形を取ってるけど、もうその辺はどうでもよくて、ただひたすら、ヴィクトリカが可愛いの一点。それと二人の淡い逢瀬……って「sⅡ」 の文句だけど。二点だけど。まぁつまり、ものすごく振れ幅の小さい、微小な感情の揺れが、その淡い表情が何とも言えずたまらない、ということで。
短編の形式としては珍しい(と思うけど)、長編の最新刊より時系列的には最新の位置にあって、しかも色々と長編に絡んでくるシーンもあったりで、これは見逃せない感じ。


あと「何で口絵がヴィクトリカ万国ファッションショー?」 とか思ったら、作者の意向か……。というか、「こういうイラストを見たいが為の努力の成果がこの短編」 っていうのはどうなんだろう。先行き不安。