ボトルネック

ボトルネック

ボトルネック

読了&再読。

できれば距離を取りたい相手に、やむを得ずぴたりとくっついている。全然そんなつもりじゃなかったのに、いつの間にか甘えている。……しかもそれでいて、あまり引け目も感じない。
なるほど。
家族のようだ。

恋人を弔いに東尋坊までやってきた嵯峨野リョウ。父と母は浮気をし、兄は意識不明の重体のままで先ほど死んだらしい。崖の先で、一つだけ新調されている柵から踵を返し、そして恋人の声が聞こえて――。


終章からが、うーんん? と腑に落ちなかった。
ので、気になりすぎて、すぐに最初から流し読み。最後の一文とその後の展開がどうなるかを考え付いて、ようやく落ち着いた。気分的にはむしろアレなベクトルだけど。うへぇ。
確かに痛くなるような話だけど、帯にある「若さとは、かくも冷徹に痛ましい――」 っていうような痛々しさじゃないような。こういうキャラはライトノベルには珍しくはないから、慣れてしまったのかも。
再読で解読した箇所を挙げると、最後の会話で「あの娘が本当に望んでいるのは何?」 というのは、”受け入れることしか出来なかったリョウに、サキという可能性を見せて、自分でも同じことが出来るんじゃないかということを理解させたかった” ということかな。この解釈だと「だから、彼女は僕を呪っていると?」 は主人公の全くの勘違いになるけど。勘違いでないなら、”呪われる資格(=生きていること)を持っていることを理解させたかった” ということかな。まあどっちにしても、最後の最後は”指針が与えられた主人公” ということだろうから*1、逆効果なんだろうけど。
あと、「キミはもう、わたしたちの……」 というのは、”わたしたち=ツユとノゾミ” だとして、言いたかったのは”わたしたちの側(=死) に臨んでいる” ということ? これは、かなり適当というか、他にどんな可能性があるか考えるのが面倒だった。


自分が解釈に苦労したもんだから書いてみたけど、どうなんだろう。別にこういうのって正解とかって無いかもしれないけど。うーん。妖精もそうだったけど、ネガティブな米澤穂信は私の頭に直結してないのかも。クドリャフカみたいなのは逆にダイレクトすぎるけど。


余談。
ミントタブレットの箱に睡眠薬混入させても、口に入れた瞬間に分かるんじゃね?” とか思った。それすらも運に任せて、ということなら、まぁ……。1%から0.1%未満くらいの低確率になりそうだけど。

*1:初読では分からなかった。