フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

読了。

「やっぱり、やめた」 と引っ張る。
「やめた?」
「塩味も食べてみたら意外に美味しいから」 大西は本心からそう言ったのだが、信じていないのか、今村は一瞬、動きを止め、大西をまじまじと眺めた。
「嘘じゃないって」 大西は声を大きくし、塩味の袋を引っ張った。「コンソメ食べたい気分だったけど、塩は塩で食べてみるといいもんだね。間違えてもらって、かえって良かったかも」

「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない」 ――長い時間と場所を漂う、表題作「フィッシュストーリー」 を含めた短編集。


うん、実に伊坂幸太郎。ポテチのラスト一言はしみじみとしてて良かった。
「動物園のエンジン」―― そういう方向に行くとは! 不覚。
サクリファイス―― またこの人か。人気があるのか話を作りやすいのか。まあ好きだしいいんだけど。
「フィッシュストーリー」―― 読み返して、岡崎さんの話の意味にやっと気付いた。
「ポテチ」―― またこの人かパート2。もっかい出てくるとは思いも寄らなかった。伊坂ワールド作品間リンクを見てみると、計5作品もあった。リンク1番の人も5作品*1だけど、4番の人は3/5で主要キャラを張ってるので、やはり別格というべきか。あと、読み返して引用文辺りの話の意味にやっと気付いたパート2。


そろそろリンクを把握しきれなくなってきた。というか、私が読み始めたのは「死神の精度」 が出る前で、一気に読んだから以前のリンクはすぐに気付けて面白かったんだけど、新刊を追い始めてからは「こんな所にあの人が!」 みたいな興奮は出来なくなったなあ。

*1:「動物園のエンジン」もその一つだった。忘れてるなあ……。