ジョン平とぼくと2 ジョン平と去っていった猫
- 作者: 大西科学,銀八
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: 文庫
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鞄を手にとって、開いた。中から、板チョコが一枚出てくる。どうしてこういうものがあるかというと、ややこしい実験をやっているときに、おなかすいたよ、かえりたいよ、はやくかえろうよ、と騒ぐジョン平をなだめるためだ。チョコレートを見て、ジョン平が、わ、と小さく声を出すが、ぼくは、包み紙ごと、チョコレートを三葉に手渡した。
「あっ、ありがとーっ」
と言いながら、三葉は乱暴に包装を破いて、チョコレートを一列折り取って、口に入れた。ジョン平がくうん、と悲しそうな声をあげる。かれはいつも、ひとかけらずつしか食べさせてもらえないのだ。
昼ごはんを食べ終わって、いつも通りに化学室に帰ると、そこには女の子がいた。「あなた、誰?」 「え、あの。北見。北見重」 おかしい、訊かれる側は僕じゃないはずだ、と気がついたのは、質問に答えてからだった。
いいね。ゆるやかに面白い。
基本的に「ゆる犬」 であるジョン平の、そのゆる加減と、時たま発揮される真剣さが良い具合に配されてる。主人公の思考がいちいち変なところに飛んだりするのも楽しい。*1あと、引用文を見ても分かると思うけど、文章に濁点が多くて、ちょっとすると読みにくい。でも私は頭の中で音声にしながら読み上げるタイプなので、逆にリズムが取りやすくて良い感じ。ダイレクトに頭の中に入ってくるみたいな。
部室棟でのアレの後が修羅場みたいで笑ったりとか、”蚊柱のミスリード”がくどすぎて笑ったり*2とか、279頁「……生きようとしていただけ」 は不覚にもうるっと来たとか。
3巻! 1ヵ月後だけど、あらすじ的に盛り上がってきてて超楽しみ。期待。
余談。
エンダーといいジョン平といい、イラストの印象が安定しないのはどうしたものか。1巻の時のエンダーはドス利かせ過ぎだったのに、今回はまんま「らんま1/2」 だったw