ジョン平とぼくと2 ジョン平と去っていった猫

読了。

鞄を手にとって、開いた。中から、板チョコが一枚出てくる。どうしてこういうものがあるかというと、ややこしい実験をやっているときに、おなかすいたよ、かえりたいよ、はやくかえろうよ、と騒ぐジョン平をなだめるためだ。チョコレートを見て、ジョン平が、わ、と小さく声を出すが、ぼくは、包み紙ごと、チョコレートを三葉に手渡した。
「あっ、ありがとーっ」
と言いながら、三葉は乱暴に包装を破いて、チョコレートを一列折り取って、口に入れた。ジョン平がくうん、と悲しそうな声をあげる。かれはいつも、ひとかけらずつしか食べさせてもらえないのだ。

昼ごはんを食べ終わって、いつも通りに化学室に帰ると、そこには女の子がいた。「あなた、誰?」 「え、あの。北見。北見重」 おかしい、訊かれる側は僕じゃないはずだ、と気がついたのは、質問に答えてからだった。


いいね。ゆるやかに面白い。
基本的に「ゆる犬」 であるジョン平の、そのゆる加減と、時たま発揮される真剣さが良い具合に配されてる。主人公の思考がいちいち変なところに飛んだりするのも楽しい。*1あと、引用文を見ても分かると思うけど、文章に濁点が多くて、ちょっとすると読みにくい。でも私は頭の中で音声にしながら読み上げるタイプなので、逆にリズムが取りやすくて良い感じ。ダイレクトに頭の中に入ってくるみたいな。
部室棟でのアレの後が修羅場みたいで笑ったりとか、”蚊柱のミスリード”がくどすぎて笑ったり*2とか、279頁「……生きようとしていただけ」 は不覚にもうるっと来たとか。


3巻! 1ヵ月後だけど、あらすじ的に盛り上がってきてて超楽しみ。期待。


余談。
エンダーといいジョン平といい、イラストの印象が安定しないのはどうしたものか。1巻の時のエンダーはドス利かせ過ぎだったのに、今回はまんま「らんま1/2」 だったw

*1:例えば、バスの回数券が中途半端に余ったときに「価値は現金と変わらないはずだけど、回数券を持ってるのに現金を使う羽目になると、損失感が大きい」 とかいうのを1ページまるまる考えてたりする。

*2:でも伏線としては覚えてなくて「やられた!」 と思った。