探偵は今夜も憂鬱

探偵は今夜も憂鬱 (創元推理文庫)

探偵は今夜も憂鬱 (創元推理文庫)

読了。

「人はみかけによらない、な」
「なんのこと?」
「一見冷たそうに見えても、君の心はクリスマスプレゼントの手袋みたいに温かい」
「草平さん」
「うん?」
「とぼけた顔をして、どこからそんな台詞を出してくるのよ」

美女に振り回されつつ、事件調査も生活の糧にしているフリーライターの柚木草平。エステ・クラブの美人オーナーからは義妹に関する調査、芸能プロダクションの社長からは失踪した女優の捜索、雑貨店の美人オーナーからは死んだはずの夫から送られてきた手紙の調査の依頼が迷い込むが……。柚木を憂鬱に、そしてやる気にさせる美女からの三つの依頼。私立探偵シリーズ第三弾。


中編集 x 3。まあまあ。
やっぱり娘がいた方がいいかな。やる気のない草平が美人(とお金) で背筋が伸びる姿は、確かに面白いんだけど、やっぱりそれはそれ、非難役がいた方が良い。
234頁「その顔でにっこり笑ってくれるだけでも俺は地獄にでもつき合ってやるが、そういえば似たような状況でこれまでにも呆れるほど、俺は地獄に落ちている」 みたいな自嘲的なのも、面白いことは面白いんだけど、やはり物足りない。……というより、加奈子の非難と草平の自嘲が両方ともにバランスよく存在した方が良い、というべきか。


東京創元社の文庫としては、次は「刺青白書」 だけど、講談社の単行本としては「誰も私を愛さない」 が先らしい。さてどうしようか……。後者は文庫で出てないからなあ。とりあえず次は手元にある「枯葉色グッドバイ」 かな。