抗いし者たちの系譜 再始の女王

再始の女王―抗いし者たちの系譜 (富士見ファンタジア文庫)

再始の女王―抗いし者たちの系譜 (富士見ファンタジア文庫)

読了。

「黙れ」
静かな声が返ってくる。殺意すら込められているのではにかと思いたくなるほど、険しく鋭い声。
スキピオの背筋は凍った。だが反対に、内心の笑いは絶頂にあった。脈拍は高まっていた。握る拳は汗まみれだった。
「いかに貴公といえど、我らが陛下への忠誠を疑う権限はない」

サラの前に、初代魔王と名乗る少女が現れる。そして明らかになる魔力と魔物の源流――。


普通のファンタジーとして、楽しめた。
でもまあ仕方ないか。謀略劇のネタだって尽きるだろうし、読む方だってサラのやり口に慣れてくる。そう考えればこの巻で区切りになるのも丁度いいのかも。
ファンタジーらしく楽しめたところは、146頁「見せ付けてくれちゃって……」 とか、209頁「友として、彼らを守りなさい」 とかかな。引用文あたりは、台詞よりも「内心の笑いは絶頂にあった」 の”してやったり感” が良い感じ。


第一部完! というわけで、まだどっちに転ぶかは分からないけど……まあ、どっちでもいいか。6:4で新作かな。


余談。
とりあえず4巻まで読んで、やっぱり「謀略のラブ・ストーリー」 は違ったなあ、とか、3巻から出てきた酷吏のセインがいるけど、こいつみたいな、分を弁えてるのに巻き込まれる脇役は見てて楽しいなあ、とか。