ミミズクと夜の王

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

読了。

「あ…………」
ミミズクはその髪を掴み、拳を自分の額に押しつけた。
なんて、わかりにくいんだろう。なんて、ひねてくれていて、なんて、不器用なのだろう。
それなのに。
(優しくされていたんだ)

「あたしのこと、食べてくれませんかぁ…………!?」 魔物がはびこる夜の森に、少女の声が響く。額に焼印、手足に鎖を纏った少女は、しかしそれを気にした風もなく、月夜の下を歩いている。やがて少女は、暗闇の中に綺麗な二つの月を見る。月のように綺麗な、こちらを見る、二つの目。


いやあ、5回くらいは涙目に。
最初の方は微妙にピントがずれてたんだけど、もう最後になると自然と潤んでくるように。いやー、良かった良かった。面白かった。でも頭の片隅で「ありがちだよなー」 と冷めた視線を持った自分がいたのも事実で、まあ仕方ないと言えば仕方ないけれど。その辺を上手いこと意識しないように、屈託なく読めたら、実に楽しめる本だと思う。


良い感じに浸れた本だった。次回作がどうなるか……まあ、期待しすぎない程度に期待。


余談。
「三白眼」 というくだりが出る時だけ、ミミズクの脳内イラストが妙に可愛い感じに。金髪・三白眼・見上げた視線・涙目……誰だろこれ。あと、ずっと「有川浩」 を「ありかわひろし」 だと思っ (ry