しずるさんと無言の姫君たち The Silent Princess In The Unprincipled Tales

読了。

「人間にとって一番素晴らしいことは感情移入だ、なんて馬鹿なことを言ってた作家がいたけど――同情なんて、状況が違えば何の役にも立たないわ。人は見当外れの感情移入ばかりして、余所に害にしかならない介入を繰り返しているだけよ。ねえ、よーちゃん――あなたは優しいわ。でもその優しさの使い道を間違えないで」

病院の一室で、しずるさんによって事件が語られたとき、それはもう既に解決している――安楽椅子探偵ミステリー、第三弾。


段々と面白さが増していく。
というよりは今現在の自分の感性に、合う方へ合う方へ近付いているってだけかも。「よく考えればそれが当然だ」 といった謎は、シンプルで分かりやすくて好き。少なくとも、「そんなの分かるかっ!!」 みたいなのよりは。でもまあその辺の調整は、作る側としては難しい問題なんだろうな。
実は、1巻からずっと「やっぱりよーちゃんは頭が良いわ」 といった風の言葉をしずるさんが言ってたことに対して、馬鹿にされてるというか、本心から言ってるようには思えなかったんだけど……この巻で96頁「あのお姫様の思考レベルの高さについていける人間というのは、おそらく君ぐらいしかいないんだろうね」 っていう第三者の言葉で、ようやくしずるさんは本心からそう言ってるのか、と思えるように。
あと204頁「いや――これは効いたわね」 あたりで考えたのは、”しずるさんが百合あるいは「実は男性」、あるいは「男性的な要素を持っている」”。もし2番目だとあれやこれやがあんな意味こんな意味に――!? とか考えて超興奮。まあ明らかに”イラスト繋がりでカーリー” からの連想だけどw 3番目はしずるさんが入院してる理由に関連があるのかも、とか……まあ妄想乙。


半年ごとに1話だったりして、次はやっぱり2年後? とか思うと、まあ……。気軽かも。逆に。