人類は衰退しました
- 作者: 田中ロミオ,山崎透
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/05/24
- メディア: 文庫
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「では、わるですー」
飴玉を並べて石器を正眼に構えると、村はシンとした緊張に包まれました。
「たあ」
石器は地面に当たります。
「たあ、たあ、たあ」
地面、地面、地面でした。
やり遂げた者の顔がわたしを見上げました。
「さすがにちきゅうはわれぬですなー」
「目的違ってるじゃないですか」
人類がゆるやかに衰退を迎えて数世紀。人口1億にも満たないわたしたち"旧"人類に対し、"新"人類たる妖精さんたちの総数は数百億。彼らは、平均身長10cmの3頭身、高い知能と人間の想像を超えた技術でもってして、日々楽しく生きています。
あはははは。面白かった。
作者は有名なエロゲ畑の人で、私はこの作品が初めて。しかしまあ色々と名前は聞くので、読む前からけっこうな期待があったり。……で実際読んでみると、これがまた期待に違わぬ面白さでありました。まあ私はボケ倒す会話があれば大抵面白く感じるんですが! 最初の卒業式の話で、6ページ目にして掴みはバッチリってなもんです。地の文が楽しい本はもう、どうしたって楽しくないはずがありません。
特に、61頁「ビフ……酒……」 と70頁「身も蓋もない政治色を呈しはじめた」 には笑い転げた。他には、43頁「お前のような者が文明を食いつぶした」 とか、92頁「かちぐみやんけ」 135頁「不意打ちはどうか勘弁していただきたい」 213頁「げら、げらっ、うぇいっ」 とかなんかはじわじわとやられました。電車の中というのは、噛み殺せば殺すほど生まれてきます。
なんか本当はもっと殺伐とした作風らしいけど、このままで続刊出してほしいなあ。次も期待。
余談。
なんとなく、イラストから黒星紅白と篠房六郎を彷彿とさせました。物体の描き方/影 が前者で、体の描き方が後者に似てる気が。まぁ篠房六郎はドラグネットミラージュのイメージが最新なもんで、漫画の方は最近読んでないけど。