【新釈】走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇

読了。

その時、彼の腕を通りすがりの女性が必死で掴み、「ちょっとすいません!」 と叫んだ。思わず見返した相手は驚くほどに可憐な乙女であり、目に涙を溜めている。芽野は決して女性に腕を掴まれたぐらいでのぼせ上がるような人間ではないけれども、理由を聞く前から彼女の涙にもらい泣きしていた。

あの名作が、京の都に甦る!? 異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。


メロスが一番面白かった。
『原典を読まずにこちらを読むのも一興』 そんな風に思っていた時期が私にもありました。収録作品は、「山月記」 「藪の中」 「走れメロス」 「桜の森の満開の下」 「百物語」 ――知ってるのは「山月記」 「走れメロス」 だけ。しかも前者は国語の教科書で、更に後者は、あろうことか「ぱにぽに」 の演劇だったりする*1
こういうものの楽しみの一つに、「原典と同じ、あるいは違った点を楽しむ」 というのがあると思うんだけど、それが味わえなかった。残念無念。メロスも、原典を知らずに読んでも面白いんだろうけど(125頁「クッキー焼くのとはわけがちがうのだ!」 辺りで心揺さぶられた自分が悔しい) 、やっぱり原典のストーリィやフレーズをある程度知ってた方が、より面白くなるに決まってる。


というわけで、今度5作品を漁りに図書館にでも行ってみよう。再読予定行き。


余談。
今やっと初出一覧の絵に気付いたw

*1:教科書で読んだような覚えもあるけれど、記憶が不確かで不確かでしかたない。