僕僕先生

僕僕先生

僕僕先生

読了。図書館シリーズ2。

「……その度胸がキミにあるのかい?」
「俺が心に想っていることは間違っていますか?」

僕僕先生は、外見こそ十代半ばの少女であるが、数千年単位を生きる仙人である。一方、齢二十二歳にして何事をも成さない(いわゆるニート青年の) 王弁は、父に命じられて仙人さまへ供物を持っていく。そして僕僕先生と出会った王弁は、今まで感じたことのなかった何かを感じた。


これは良いファンタジー
人間である王弁と、仙人である僕僕の二人旅。僕僕は各地にいる仙界の者たちを訪ねて回り、王弁はそれに従い、いくつもの不思議な体験をする――というような話。まぁ確かに「狼と香辛料」 と類似する点が多くあるものの、特にそれが不満というわけでもなし。むしろ終盤の”控えめながらも甘い生活をする二人” は、香辛料では未だ味わえない*1という点で価値があるかも。
この二作品の違いは、仙人の類は人の心を読める、というのに起因してるように思えます。僕僕先生は王弁の心を読んでいるので、一方向に筒抜け。そりゃあ二人の関係も僕僕先生の反応次第というものでしょう。


夫婦喧嘩してたり王弁をからかったりと、意外と俗っぽい仙人たちも面白かった一冊。……文庫になったら買おうかな。


余談。
・作者紹介の下の帝江のイラストが妙に可愛い。なんだこれ。
・あと中国史はひたすら眠いです先生……。則天武后(武則天) や玄宗皇帝ということで、700年前後の話。その方面が好きな人はより楽しめるのかも。

メモ(付箋)。
p114,p128,p150.p185

*1:読み切りなので、二人の関係に結論を出せているからなんだけど。