涼宮ハルヒの消失

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

読了。

「帰るよ。やっぱ邪魔だろうしな」
じゃな、と立ち去りかけた俺の腕に、羽毛のようにやんわりとした力が加わった。
「…………」
長門が、俺の袖をそっと指でつまんでいる。まるで生まれたばかりの赤ん坊ハムスターをつまみ上げようとしているような、小さな力だった。
今にも消えそうな表情だ。

ハルヒ? ハルヒって誰のことなの?」 ハルヒがいなくなった。代わりに俺の後ろの席にいるのは消失したはずの朝倉涼子であり、皆の記憶から――世界から――涼宮ハルヒという存在そのものが消失してしまった。ただ一つ、俺の記憶を除いて。


おお、なるほど納得の面白さ。
まさか既刊がしっかりと伏線だったとは思わなかった。富士見やスニーカーならムシウタみたいに、短編集という明確な位置づけじゃなかったのはこのラインが必要だったせいか。4巻の為に伏線を張りに張り……”長門に頼りすぎだよな” という感想を抱いたことすら、作者の思惑通りというわけですか。うは。すげぇ。
意味は違うけれどもミッシングリンクを探せみたいな話で、残された一本のルートを発見した時の安堵感といったらない。そして個人的にヒットしたのは、84頁「気のせいかもしれないが読んでる本のページも全然進んでいないように思える」 。何その無防備さ。この辺を受け継いでくれると楽しくなりそうだな……とか思いつつ。


5巻はまた短編集なのか。どうすんだろこれ。12/18のための伏線張りになるのかな。