サウンドトラック 下

サウンドトラック 下 (集英社文庫)

サウンドトラック 下 (集英社文庫)

読了。

「どうしてなのか、ホワァイ?」 カナはわざと声を高める。基金の人間を残らず誘きだすように。「どうしてなんて、甘い! 女子校生は知らないとでも? また適当ゆって! あたしたちは何でも知ってるわ。あたしたちは自分たちが何について無知かもわかってる。だから何でも、なあああああんでも知ってるの!」 そして絶叫する。「この、人攫い!」

かつて母親に殺されそうになり、継母からも拒絶されたヒツジコは、世界を滅ぼそうとする。自らの踊りによって――。一方トウタは、友人レニの復讐を手伝う。トウタとヒツジコの衝動が向かう先とは……。崩壊へと加速する東京を描いた、衝撃の長編小説。


なるほど「疾走小説」 。楽しかった。
やっぱり青春小説ではなかった。あえて一面に注目して言うなら、革命小説*1。世界に対して受身だったヒツジコとトウタが、世界に波を立たせるため、現状をひっくり返すために動き出す――176頁「さよなら受動態」 のフレーズの、スイッチがとても気持ちいい。一騎当千というか、たった一人、個人の力がどんどん膨れ上がっていくのが楽しすぎる。
111頁「これで俺の転落の完成だな」 から始まるクロイの覚醒とか、164頁「さあ、このリングからの出口はない。鼻血を出させてあげるわ!」 / 「ねえ、愛って知ってる?」 あたりのドライブ感はもう最高。少年漫画的な憧れでもって。すげぇ。すごすぎる。この万能感。290頁「レニは愛にかけて誓う」 あたりもかなり良かった。あと、引用文あたりで、カナがなんとなく『悪魔のミカタ』 2巻の朝比奈ナナナ「イィィンヴィジブルエアアア (ry」 あたりに似てるかなー、とか。


うん、とにかく、(やっぱり上巻と同じく情報の劣化が激しくて全然伝え切れてない感じがするけど)面白かった。作者の他の小説も読んでみたくなってきたな。

*1:うーん、でもやっぱり青春もいるかな。青春/革命/疾走小説?