世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

読了。タイトル買い。そして積読の中でも最古参。web本棚を見ると登録日は2006/02/09だった。

「まだ肩に余分な力が残ってる」
「冷蔵庫から新しいビール出していいかな?」
「いいよ、もちろん。だってあんたの部屋であんたの冷蔵庫であんたのビールじゃない?」
「僕のドア」 と私は言った。
「ドアのことは忘れなよ」

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭蓋骨から夢を読んで暮らす<僕> の物語――「世界の終り」。老科学者に仕事の依頼をされたときから、日常を壊された<私> が、自身の隠された秘密を巡って活躍する――「ハードボイルド・ワンダーランド」。静寂な幻想世界と波乱万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。


なかなか面白くなってきた。
だいたい、現実の世界と違う設定の話というのは、物語の冒頭はワケが分からないものだけど、二つの異なった世界が同時進行するこの本では、二倍の速度でワケ分からない。何の話だ、これは? と何度思ったことか。
片方では「記号士」 なる職業が活躍していたり、片方では「影」 が抜き取られて喋り始めたりする。何とも混乱して戸惑っていて、正に、230頁「何の知識もなく、何のヒントもなく、ドアの一枚もない」 。この辺はハードボイルドな感じが漂っていて実に面白かったんだけど。
その後に、世界設定が形を取り始めて、物語を楽しみだす余裕が生まれてからは、結構先が気になるストーリーで安心*1。特に「ハードボイルド・ワンダーランド」 。こっちは中々エンタテインメントだった。「世界の終り」 も、図書館の女の子との話を楽しんだりも出来るけど、そこ以外に楽しむポイントがありそうなので探してる途中。下巻に期待。


さてこの二つがどう繋がっていくのか、今のところ断片的な word でしか繋がってないけど、最後には面白いことになりそうな予感がしてくる。……ただ、電撃の新刊読み終わってからだけど。

*1:いやあ、長い間放置してて全然読む気が起こらなかったら悲惨だし。