赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

読了。金土日で3日かかった。

何が起こったのか、知りたい。
不肖の孫だが、これでもわたしは家付き娘である。二十二歳にもなって無職で、こんな平日の昼間から家にいてごろごろしているが。未来になにかをつなげていける気は、自分でもまるきりしないのだが。不安でたまらない毎日なのだが。絵に描いたように無気力な若者だが。だが。
家付き娘のプライドのようものが、わたしの中にあるような気もした。

祖母。母。わたし。だんだんの坂のてっぺんに住む、製鉄一族の女三代記。


やっべ面白え。
長いけど! 実はたった300ページちょいなんですけどね。でもハードカバー。でも上下二段組。文章が詰まってて、内容も詰まってて、読み応え抜群といったところ。
1950年代から2000年代の時代の変遷を、”わたし” が祖母と母の昔語りを元に、その時分に生きる人々を精緻に書き出しつつ再構成する、というような話なんだけど、これがまた重厚長大というか、いや単に製鉄業からのイメージだけど、とにかくそういう密度の詰まった、フィクションと言うよりノンフィクション、これだけの物語を、三代に渡っての女達の人生を、伝記のような精細さをもって構築する作者は化け物かと、読点なしに一息で言ってしまいましたが、大体こんな感じです。
そして祖母の第一部、母の第二部と連綿と続いた過去は、現在の第三部”わたし” に帰着する……って”祖母と母の話は壮大な前フリだった” のか! とか思うと、ワクワク感が止まりませんでした。そして期待に違わぬ展開と、この素晴らしいラスト。まさに残り3ページの、このスッキリとした結末と言ったら。言葉も出ません。


毒々しい表紙とは違い、殺伐とした展開など一切ない、どこまでも楽しさを味わえ続ける*1ことが出来る本でした。これは凄い。圧巻。

*1:読むペースが遅いせいもありますが。