嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸

読了。

「御園がもう一度入院して、改竄した記憶と健常から程遠い精神を立て直しても、不幸な過去を取り戻すだけ。それと向き合って目を逸らさずに幸せをもう一度見つけてくださいなんて、上から物事を見てる人間の言い草。耐えきれずに自殺を図る奴だっているんだから。真実から目を背けるな、なんて傲慢な人間の押しつけに過ぎない。アタシは認めないね」

この街では今二つの犯罪者がいる。片方は大人から子供まで何人も殺しており、もう片方は小学生の兄妹を誘拐した。しかし僕は、誘拐って奴はある意味殺人より性悪な犯罪だと思っている。――ねえ、まーちゃん?


うお、これは面白い。……い?
第4章くらいまでは単純に面白かったんですが、それ以降は……何と言うか、混乱が先に立ってしまって、面白い/面白くない、とかいう話ではなくなってしまいました。混乱した頭は、読み返してみるとスッキリしましたけど。63頁”「あれをやったの、みーくん?」「いいや」 と僕は嘘をついた。” でうわああああ、とか思ったり。
しかしあれですね。電撃のメルマガで読んだ時点では、「タイトルも作者名も西尾維新っぽい」 とか思ってたんですが*1、実際の内容は「むしろ (※重要ネタバレ注意)「GOTH」 展開+「禁書」 1巻エンド” みたいだよねえ」 という感じでした。
しかしあれですね(2回目)。妙にネタが散りばめられてますね。99頁「好き好き大好き超アレしてる」 が舞城王太郎*2、121頁「待ち合わせはどこにしましょうか」「暗いところで」 は乙一だし*3、224頁「黒マントの糸使い」 はブギーだし*4……他にも色々ありましたが。例えば、267頁「アパカッ!」 は声を先に思い出して、それからサガットという名前が出てくるまで20秒くらいかかりました。先に声が出てくる辺り、どうも刷り込みされてるらしく、作者と世代が近いことが窺い知れます。


名シーンはもちろん奈月さんとの会話で。丁々発止もいいとこだった。2巻も期待、かな。9月に買う電撃が一冊増えてしまいました。




余談。
この本の表紙を思い浮かべると、何故か
マージナル (ガガガ文庫)
が先に出てきます*5


追記。
他の人の感想を読むと、マージナルが(内容を比べるために) 挙げられてたり、やっぱり西尾維新だったり、カバー裏の話が出てたり。
・カバー裏はなんというか、本文にない言葉を並べるのは、「雰囲気だけ味わえ」 みたいな、CMで思いっきり期待させるだけさせといて観に行ってみるとガッカリなホラー映画みたいで、それほど面白いとは思えませんでした。たぶん完成稿以外からも引っ張ってきてるんでしょうが。
・妹の可愛さを言及するのを忘れてた。
・「オーウ、コレがジャパンデ有名ナ『ヤンデレ』 デスカー?」 とか言うのを忘れてた。ヤンデレ初体験。
・分かりにくい感想書きましたが、面白かったですよ。

*1:でも西尾維新デスノートしか読んでません。

*2:でも一冊も読んだことはありません。

*3:この本は読んでません。

*4:V.Sイマジネーター編とロストメビウス以降は読んでません。あとビート3以降も。

*5:もちろん読んでません