失われた町
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11/24
- メディア: 単行本
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「あの消滅からずっと、潤のいない世界に自分が生きていく意味なんてないって思ってた。だからかろうじて、潤を奪った町に復讐することに、自分がこの世界にいる意味を見つけ出そうとしていた。私の心は、潤しか動かすことはできないんだよ。それでもあなたは私を見ていることができるの?」
「今までずっとそうしてきただろう?」
大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。「消滅」 によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」 月ヶ瀬町に集う。消滅を食い止めることはできるのか? 悲しみを乗り越えることはできるのか? 時を越えた人と人との繋がりを描く、最新長編900枚!
うん、面白かった。
でも、ラストがよく分からなくて何だか消化不良。「序+1〜7+終」 という構成なんだけど、長編というよりむしろ連作短編で、各章で面白さが違う。というより、エピソード2がもう最悪だった。もう読んでる内に気持ち悪くなってきて*1、苦痛で苦痛で、読むのをやめようかと思ったくらい*2。
多分これの原因は、「町の消滅」 に端を発する世界観の違いというか、つまりは説明しないまま放置の文章が多すぎたということかと思ってる。何となくそう思っただけだけど、(この世界の説明がどんどんと付け加えられていった)エピソード7がなかなか面白かった事もその考えを補強してるように思う。もっとも、「あれがここに繋がるのか!」 みたいな面白さもあったんだけど。
それか単純に、エピソード5,6が面白かったから、そのノリで7も面白く感じただけかもしれない。5は九龍城的アドベンチャーな部分が面白くて、p.p.267〜268あたりは凄く良かった。6は潤からの手紙がもう最高で、こう、貫かれた意志と受け継がれたものにただただ感動した。もうゾクゾクして仕方なかった*3。ジョジョ第6部で徐倫が「あんたは『希望』ッ!」 ってイルカに繋がるロープを切るシーンを思い出したりした*4。
うん、まあ、結局面白くなったから良かったんだけど、もう二度とエピソード2みたいな感覚は味わいたくないなあ。ああもうやだやだ。