嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 善意の指針は悪意

読了。

「ねーとーる」
それはねと以下略、身体の向きは極力変えないよう、振り向く。
「とーる、今は、ねーちゃん以外の人とつきあってるんだよねー?」
「うん、まあそんな印象を与える感じ」
「じゃー、その人にふられたら、あたしがつきあったげるー。よやくね」
……ませた十歳だな。

入院した。僕は殺人未遂という被害の末に。マユは自傷という行為の先で。そして入院先でも事件は起こってしまう――。失踪した患者と、自傷ではないマユの傷と――死体。「うむ、あれは確実に死んでましたな」 ……僕は再び、まーちゃんを助けるために奔走する。


うん、なかなか面白いッスよ。
なんかもうキャラクタのほとんどが素敵。”僕” の入院先に元カノが見舞いに……とか、その妹とか、やけにキャラが被ってる看護師とか。もう皆が皆楽しいキャラ。特に”トランスペアレントレッドオキサイド”(覚えてた)!*1 それと、前回もいつの間にかミステリ的な仕掛けが施されてましたが、今回もまた、何層も施されてます。ところがどっこい、私はそんなものを全く意に介さず読んでました。だって、主人公が「謎」 に対して正面から悩む描写がなくて、表面上はただのキャラクタ小説*2でしたし。
35頁「妻が浮気した夫を叱責する、テレビの音声」 ベタだけどこういうの好き。奈月さんの出番がここだけなのは悲しいですね。先生の出番が地の文だけなのも悲しいですね。163頁「ななななななにをするだぁー!」 拳を握りしめて言うなw それにしてもこの妹、190頁「ノリノリである」 。216頁「少年誌の主人公目指してるから、省略」 その省略は現場で行われてたのか、会議室っつー脳内で事後に省略されたのかどっちですか。277頁「『ごめんなさい』 と、もう一つの言葉」 ”××してる” かな?


裏表紙……読んだ後に見た方がぞっとしますね。言葉は例によって雰囲気だけですが。



追記。
。透明な酸化鉄、という意味らしいです。あまり透明という部分が血を捕捉させるイメージではないですね。

*1:オキサイドだし、たぶん血の赤系だよね……。

*2:キャラクタが悩んでくれない場合、かつ、表面上でもミステリ小説の場合、読んでる私がしっかり「謎」 を考えて悩まないと楽しめなかったりするけど、娯楽の皮を被ってると問題ありません。楽しんでる内に終わります。