レジンキャストミルク8

レジンキャストミルク〈8〉 (電撃文庫)

レジンキャストミルク〈8〉 (電撃文庫)

読了。

「でもな、里緒」 しかし。
晶は、笑った。
それは里緒に酷いことを言う時の顔ではなく、いつもの。
優しい欺瞞に満ちた、晶本来の、
「もし……もしも僕を友達と思ってくれるなら。里緒が僕のことを友達だと思ってるんなら。一緒にやってくれるか? 僕と一緒に、死んでくれるか?」
里緒の大好きな、晶の――笑顔だ。

欠落を胸に、虚無と別れを――。最後の戦いを前に、晶と硝子たちは束の間の平穏、日常を送る。もう一度ここへ戻ってこようと誓う者。もう二度と戻らない覚悟を決める者。一抹の不安を抱えたままそれでも笑って過ごすもの。……それぞれが思惑を胸に秘めたまま、そして決戦の時は訪れる。


泣けた。
ただまあ、「硝子はひとり目が覚めると、周囲には荒れ果てた大地が広がり……」 的なほぼ全滅エンドのような、読者の想像をブッチ切った超・展開を期待 想像してたので、この展開はどうにも普通すぎるというか、予想に反してあまりに小さく収まってしまったことが、残念ではあります。勝手な予想ですけど。
それでも最終決戦は、あれ、目、から、水が……みたいなことになってしまったので、しかもこの感想を書くのにもう一度パラパラッと読んでいたら、また湧出したりして……ハードルを高く設定しすぎた自分は、それはそれ、この際脇にどけておいて、この水分が最終巻の最終巻たる面白さを代弁してくれてると思うのです。
なんか迂遠に書きましたが、要約すると「思ったより普通だったけど涙が出てくる程度には面白かった」 の一文で済みますね! 
付箋を貼った箇所を見てみると、128頁「芹菜の心臓が加速した」 で芹菜、256頁「――見ててよね、殊子。……姉さん」 で蜜、引用文あたりで里緒、290頁「あなたたちは、私の生徒……よ」 でネア、313頁「だから、持っていけよ。……兄さん」 で晶と無限回廊……(あと”最後の里緒” の場面も貼ってあるけど、まあこれは、言ってしまえば展開次第でこの役回りをするのは誰でも良さそうなので、ノーカンということで) と、それぞれのキャラに見せ場があったのが面白いですね。


「れじみる。2」 が残ってるんですが、当然”里緒のほのぼの話” が入ってくると思うので、そちらも期待しつつ、合掌。お疲れ様でした。