高く遠く空へ歌ううた pulp-town fiction

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

読了。図書館で借りてきたよシリーズ8。

「おまえが酒を飲める年になった時によ、その時に俺がまだ生きていたら訪ねてきてくれねぇか、俺をよ」
どうしてかわからないので訊いた。イタクラさんは少し恥ずかしそうに言った。
「一緒に酒を飲んでくれよ」
どう答えていいのかわからなかった。
「おまえと、おまえの親父の話がしてぇんだよ。いろいろと話したい事があるんだ。嘘でもいいから約束してくんねぇか。そうすりゃ俺ももうしばらく生きていく張りができるってもんだ」

僕は死体の第一発見者となった。ただし僕の人生では、もうこれで十人目の死体だ。その誰も彼もが自殺であり……九人目の父の時から、二年が経っていた。


まあまあ良かったかな。
というか副題の存在に半ばまで読み進めてから気づきましたよ。それまで「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 とタイトルが似てるなぁ……とか、妙に礼儀正しい怪しいジイサンって……ん? とか思ってたんですが、まあ、全然わかりませんでしたね。思い当たっていれば謎も早々に解けたはずですが、物語の謎を謎としてそのまま楽しむ、という点では正解だったのかもしれません。
やっぱりこの人は良いですね。何がとは上手く説明できないので完全フィーリングですが、47頁「オレは一生絶対に野球をやめない」 とか、引用文あたりとか、不覚にも感動してしまうのです。後者はキャラクタ設定*1が既に好きだったり。あまり話の本筋とは関係がなくて、サイドストーリー(といってもそれが大半で構成されてますが) なんですが。きっと台詞回しとかの感性が凹凸ピッタリ填まっているのでしょう。


次はAOL借りてこようかな。いつになるか分からないけど。




私的メモ(付箋)。
p47, p150, p169, p222, p257

*1:昔は普通の少年だったヤクザ。DARKER THAN BLACK でもその話はなかなか好きです。