向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

読了。図書館で借りてきたよシリーズ9。

S君はしばらく考えてから、「そうだ」 と高い声で言った。
「明日、図書館に行こう。小説のないように眼を通すこともできるし、係の人に訊けば、きっと著者のことも教えてくれる。一石二鳥だよ」
たしか、一石二鳥という言葉は、岩村先生の尾行を計画したときにも出てきた。
嫌な予感がした。

一学期最終日。休んでいたS君のためにプリントを届けに行った僕は、S君の首吊り死体を目にする。だが、泣きながら学校に戻り、先生と警察官が再び彼の家に行ったとき、死体は忽然と消えていた――。


なんじゃこりゃあ。
初読の時はまさにこんな気分でした。なんだかよく判りませんでした。そしてパラパラッと読み返してみて……その強烈さに愕然。すごすぎる。ブッ飛んでる。
序盤がまたもやホラー仕立てで、「まーたホラーかと思わせつつミステリか」 とか思ってたんですが、まあ、微妙なところですね。ミステリではありますけど……、それよりも気味の悪さが先に立ちます。こんなトリック誰が予想できましょうか……。ゴキブリじゃないですけど、一匹いれば百匹いるよ、みたいな予想は立つかもしれませんが……結果論でしかありませんね。
妹が三歳のくせに九歳の主人公顔負けの思考をしたり、S君がものすごい順序だてて事件を整理しだしたりで、こいつらすげーなー、とか思ってたんですが……一番凄かったのは主人公でしたね。この本、最初は大人になった主人公のモノローグで始まりますが、これ主人公は結局どうなっちゃってるんでしょうか。


想像の遥か上空をジャンボで突っ切るような話でした。いやすごかった。